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乳歯の外傷と永久歯の外傷の違い

乳歯と永久歯では外傷の様相が少し違います。

乳歯の外傷は、歩行し始める1~2歳で多く、歯の周囲の骨(歯槽骨)もやわらかいため、歯がぐらついたり(脱臼)や歯肉にめり込んだり(陥入)することが多いです。これに対して永久歯の外傷は、7~9歳に多く、脱臼や陥入もありますが、歯の破折が多い傾向があります。これは乳歯列期に比べ歯槽骨が硬く丈夫になっているためと考えられます。

右側乳中切歯の陥入。再萌出が期待できる。

 

乳歯の外傷で脱臼の場合でも揺れが大きい場合には周囲の歯を固定源にして固定します。偏位の大きい場合は麻酔した上で整復固定します。年齢的に確実な処置が難しかったり、周囲に固定源となる歯がない場合もあります。固定期間は2~3週間となります。固定の破損等がないか毎週チェックしていきます。乳歯の陥入は、再萌出が期待できるので経過観察なります。脱落の場合は、条件がよければ再植します。条件とは、水道水などで洗ったりせず脱落歯が牛乳(低脂肪乳など不可)や歯の保存液(生理的食塩水)などに入れて速やかに来院された場合です。乾燥や浸透圧の違う液体に漬けての保存は歯根膜の組織にダメージを与え治療を失敗させます。骨の中ではすでに永久歯の形成が始まっているため、脱落歯が感染源なる危険性が高い場合などは、再植はしません。

永久歯の外傷では、破折は破折片があれば破折片の接着、破折片がなければレジン修復(白い樹脂を盛り上げます)になります。脱臼に関しては乳歯の場合と変わりませんが、生え代わりなどで周囲に固定源がない場合など難しい場合もあります。陥入の場合は乳歯とは異なり、麻酔した上で直ちに整復固定を行います。脱落の場合も乳歯より積極的に再植していきますが、処置後にいろいろと合併症がみられることもあります。可及的に永久歯は保存していくという姿勢で治療していきます。

左側中切歯の破折。破折片がなければレジン修復を行う。

 

二子玉川ステーションビル矯正・歯科

小児歯科担当 髙見澤 豊