NEWS

笑気鎮静法って知ってますか?

今から175年ほど前の1844年H.ウェルズ(アメリカの歯科医)が笑気(亜酸化窒素:ガス麻酔薬)を用いた全身麻酔下で自身の歯を抜去したのがはじまりでした。

G.Q.コルトンは化学講師と称して各地を巡業し笑気ガスの講演実験会を催していました。1844年12月ハートフォートという田舎町で聴衆のうち数人を選んで、ステージで笑気ガスを吸わせます。たまたま、聴衆のなかに同地で開業していた29歳の歯科医師ウェルズがいました。そのとき、吸入した若者の一人が興奮して酩酊状態で走りだし、片足の向こう脛をベンチに激しく打ちつけ、骨が折れたかと思われるような衝突であり、出血したにもかかわらず、当人はケロリとしていて、笑気ガスの効力が消えるまで打撲の痛みをまったく感じなかったのでした。これを見ていたウェルズは無痛抜歯の可能性に胸躍らせながら、コルトンに協力を求めました。 翌日、自ら患者となり、コルトンが笑気を吸入させ、友人の歯科医師J.M.リッグス(歯槽膿漏の命名者)がウェルズの上顎左側の親知らずを抜去しました。そのとき、ウェルズは「抜歯に新しい時代がきた」と叫んだといわれています。

ウェルズたちの笑気ガスは100%のものを使用していたので、笑気自体の麻酔効果のほかに酸欠による意識の喪失もあったと考えられています。

1868年にE.W.アンドリュー(シカゴの外科医)笑気ガスに20%の酸素を併用する方法を開発しました。

日本では、1891年(明治24年)片山敦彦が米国から笑気の吸入器を持ち帰り抜歯に用いました。1895年(明治28年)神翁金斉が笑気ガス麻酔器を米国から輸入。1896年(明治29年)伊沢信平が歯科学会で神翁の麻酔器を使い笑気の吸入実験行われました。

現在では、笑気ガス単体では十分な麻酔効果が得られにくいことわかり、20~30%の低濃度の笑気ガスに高濃度の酸素を組み合わせてリラックス効果を得られるような麻酔ではなく鎮静法という形で使用されています。笑気鎮静法は保険適応なので、不安の強い方はお申し付けください。

笑気鎮静法って知ってますか?

 

二子玉川ステーションビル矯正・歯科

小児歯科担当 髙見澤 豊