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小児アレルギー疾患のトピックス ~昔の常識は今の非常識?~

このブログでは、子どもに関連した情報をアップしていきたいと考えています。

先日、日本小児歯科学会関東地方会大会がありました。

面白かったのは特別講演でした。千葉県小児科医会会長の佐藤好範先生が「小児アレルギー疾患のトピックス(食物アレルギーを中心に)~昔の常識は今の非常識?~」と題して講演されました。今から20年ほど前(私の息子が生まれた頃)は、卵アレルギーを防ぐために卵を与えるのは3歳近くになってからだったと記憶しています。アレルギーのあるお子さんでは除去食にするのも普通でした。最新の食品アレルギーの考え方は、以前とは随分違うものでした。

講演内容は大きく分けて3つでした。1つ目は「衛生仮説」について、2つ目は「アレルゲン二重曝露仮説」について、そして最後に「口腔アレルギー症候群」についてでした。

衛生仮説は、先進国の方がアレルギー疾患が多く、発展途上国で少ないということ。20世紀初頭にはアレルギー疾患は稀だったのに現在はアレルギー疾患の有病率が高いということから、現代社会が清潔になりすぎてアレルギー疾患が増えているのでないかという仮説です。第1子より第2子、第3子の方がアレルギー疾患が少ないなど興味深いですね。子どもが多ければ子ども中心の生活になり大人中心のきれいな生活は保ちにくいですね。アレルゲンを減らすためにお家を一生懸命掃除するのは無駄な努力のようにも思えてきました。卵や小麦などの除去食にしてもハウスダストの中に食品の微粉末が含まれていることが近年の研究からわかってきたそうです。

アレルゲンの二重曝露仮説は、経口的にアレルギー物質を摂取の方が経皮的な感作に比べアレルギーが発症しにくいということでした。アレルギーの先生のあいだで「茶のしずく事件」と呼ばれているできごとがあったそうです。茶のしずく石鹸には小麦を加水分解したものが材料に使われていたのですが、この石鹸を使用した方に小麦アレルギーがみられたということでした。石鹸使用前は小麦を食しても大丈夫だったのに、石鹸を使用して皮膚から小麦に感作されたら小麦アレルギーになったという事例です。日常生活の中でも経口摂取以外にアレルゲンが皮膚の湿疹などに触れてアレルギーが発症する可能性があるということです。また、食物アレルギーの原因になるものを早く食べると、特異的に抗体は作られず食物アレルギーにはならない(免疫寛容)という説があり、それを裏付ける研究がなされました。「生後4~11か月のアレルギー素因リスクの高い乳児において、ピーナッツが早期に摂取開始されるとピーナッツアレルギーが減少する」と報告され、世界のアレルギー学会がこれを認めたということでした。

口腔アレルギー症候群の話の中では、ラテックス果実症候群(Latex-fruit syndrome)を気をつけないといけないと感じました。 歯科では診療でゴム手袋を使用しますが、ラテックス果実症候群では果物や野菜が抗原としてラテックスのIgE抗体と交差反応して口腔アレルギー症候群を引き起こすということです。具体的には、ラテックスアレルギーと交差反応する果物・野菜としては、バナナ、アボカド、パイナップル、パパイヤなどのトロピカルフルーツやそのほかにキウイやクリが挙げられていました。バナナやアボガドなどにアレルギーがあるときはラテックスアレルギーも気をつけろということでしょうか。ちょっと心配になりますね。

 

最後に当院でのアレルギー対策

ラテックスアレルギーをお持ちの方はラテックス以外の手袋も用意していますのでお申し付けください。

局所麻酔薬のアレルギーがご心配な方もいらっしゃるかと思いますが、局所麻酔薬リドカイン(商品名:キシロカイン)自身のアレルギーは少なく防腐剤などの添加剤によるものが多いといいます(一説にはリドカインによるアナフィラキシー反応の発生頻度に至っては0.00007%ともいわれ,重症のアレルギーの発生頻度は極めて低いと考えられます)。当院では、防腐剤としてメチルパラベンが入っていないリドカイン(商品名:オーラ注)と一切の添加剤が入っていない塩酸メピバカイン(商品名:スキャンドネスト)を使用しています。作用時間に差があるので、処置内容に応じて使い分けしています。希望があれば、局所麻酔薬のアレルギー検査(皮内テスト)も実施可能ですのでお申し出ください。

万が一アナフィラキシーショックが起きてしまった場合にも対応できるように当院ではエピペンも用意しております。