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医史跡、医資料館探訪記55 キュンストレーキ(人工の死体)を見に行く

キュンストレーキ(キンストレーキ)とは、オランダ語で「Kunst lijk」=「人工の死体」を意味し、現在国内で所在が確認されているのはフランス製の4体(石川県に1体、福井県に2体、長崎県に1体が所在)と国産の1体(福岡県に1体)の計5体である。東京大学にあったといわれている2体は、関東大震災で焼失している。石川県のは金沢大学医学部記念館に男性の個体が、福井県のは福井市立郷土歴史博物館に男女の個体が、長崎県のは長崎大学附属図書館医学分館近代医学史料展示室に男性の個体があり、福岡県のは九州大学附属図書館医学分館の個体である。

今回、北陸研究旅行に際し金沢大学医薬保健系事務部総務課総務係に問い合わせしたところ、コロナ禍であり県外者の見学は認めていないということであった(2021年8月現在)。ということで福井市立郷土歴史博物館を訪れることにした。19世紀に入って解剖学教育が重視され教育用の人体模型の需要が高まりまる中、それまで模型といえばワックスモデルであったが、高価かつ脆いため教材としては不適切でした。キュンストレーキはフランスの解剖学者ルイ・トマ・ジェローム・オヅー(Louis Thomas Jérôme Auzoux,1797~1880)によって考案された紙製の人体解剖模型で分解、組み立てが可能なことが特徴であった。幕末から明治にかけて数体の模型が日本に輸入された。博物館に展示されているものは、福井藩の医学所「済世館」で使用されたものである。男性の個体は1860年(万延元年)に、女性の個体は1869年(明治2年)に購入したものと伝えられている。

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解剖学者オヅーの肖像

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二子玉川ステーションビル矯正・歯科

小児歯科担当 髙見澤 豊