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局所麻酔薬のアレルギー

歯科用の局所麻酔薬で一般的なものは、一般名リドカインというものがあり広く用いられています。リドカインの商品名としては、キシロカイン®、オーラ注®、キシレステシンA®などが知られています。 リドカインは歯科以外では、かゆみ止めの軟膏に加えられていたり、胃内視鏡検査の際に麻酔薬ゼリーとして使用されることもあります。

局所麻酔薬の有害事象としては、心因性の反応(迷走神経反射)、局所麻酔薬中毒、添加されたアドレナリンによるもの、アレルギー反応があります。アレルギー反応としては、遅延型アレルギー性皮膚炎が最も多く80%を占め、アナフィラキシーは約1%といわれています。局所麻酔薬のアナフィラキシーの原因としては、麻酔薬中に添加されたパラベン(パラオキシ安息香酸メチル)など保存薬によるものが多いと考えられ、真の局所麻酔薬アレルギーはさらに少ないと考えられています。パラベンフリーの歯科用局所麻酔剤を表1に示す1)。表1のうち、 オーラ注® 、 キシレステシンA® 、スキャンドネスト®を当院では使用しています。

局所麻酔薬による有害事象を表2に、アナフィラキシーの症状と所見を表3に示します2)。アナフィラキシー症状としては、血管が豊富な顔面では、皮膚の潮紅や浮腫がみられやすく、また気道浮腫によりと気道が細くなって呼吸困難になったり、血管拡張により血圧の低下がみられたりします。

当院では、アナフィラキシーに対しては酸素投与とアドレナリンの筋注(エピペン®)と気道の確保、救急車の要請という対応になります。

参考文献

1)斎藤 義夫、阪田久美子:医薬関連情報,歯薬療法,22(2)100-101,2003.

2)光畑裕正:局所麻酔薬のアナフィラキシー,日本ペインクリニック学会誌,21(2)2-9,2014.