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寝る前の飲食がよくないわけ

 歯垢(プラーク)中のpHを調べてみると、図1のようになります。食後にpHが低下し、その後唾液の分泌のより回復します。図にあるように臨界pHより酸性だとエナメル質が脱灰(歯が溶ける)し、臨界pHが中性側なら再石灰化(歯が修復)します。図の臨界pHは大人の永久歯のもので、幼若な永久歯や乳歯の臨界pH5.86.0くらいですから、子どもの歯は酸の影響を受けやすいのです。

寝る前の飲食がよくないわけ 就寝前の歯みがき 図1.歯垢(プラーク)中のpHの変化

 お口の中では常に脱灰と再石灰化が起きていますが、両者のバランスがどちらに傾いているかでむし歯になってしまうかが決まってきます(図2)。一時、食後30分は歯みがきしないという話がありましたが、あれは成人の酸蝕症の予防の観点で食後30分歯みがきしないという話で、子どもでは食直後の歯みがきが推奨されています。この件に関しての小児歯科学会の公式見解は、以下のページアクセス。http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index09.html

寝る前の飲食がよくないわけ 就寝前の歯みがき 図2.脱灰-再石灰化の平衡図

 また、就寝中は唾液の分泌量が減少するため、就寝前に飲食すると歯垢中のpHは酸性に傾いたままになります。ですから就寝前の飲食、哺乳あるいは授乳は、むし歯予防という観点から推奨はできません。しかし現在の授乳の考え方は母子の関係を育む上で、授乳を無理にやめさせることは好ましくないといわれていますから、就寝時に授乳した際は最後に白湯を飲ませるか、ガーゼで歯の周りを拭いてあげるなどのケアができるといいと思います。

二子玉川ステーションビル矯正・歯科

小児歯科担当 高見澤 豊